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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎(UC)とは

大腸の粘膜に慢性的な炎症が起きて、びらんや潰瘍といった病変ができる原因不明の腸の病気です。粘膜の炎症は直腸から連続的に広がっていくとされており、基本的には大腸という臓器に限られますが、腸以外の他の部位に病気が現れることもあります。

病変の範囲により、直腸炎型(25%)、左側大腸炎型(25%)、全大腸炎型(40%)の3つに主に分類され、一般的に病変範囲が広いほど症状が強く出やすくなります。

潰瘍性大腸炎は指定難病の1つで、発症頻度は10万人に100人程度とされています。近年は増加傾向にあり、現在全国で約22万人の患者さんがいると考えられています。男女比はほぼ同じで、発症は30歳代がピークですが、発症年齢は若い人から高齢者まで幅広く認められますので患者さんに応じた治療を決定していく必要があります。

潰瘍性大腸炎の症状について

主な症状は血便、下痢、腹痛です。これらの症状が強くなり重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状があらわれてきます。排便後も残便感や腹痛(しぶり腹)が続くようになります。血便、下痢、腹痛は様々な病気で認められる症状ですが、ほとんどの場合が一時的なものです。経過を見ていて症状が続く場合は一度、クリニックへの受診をお勧めします。

潰瘍性大腸炎の診断のための検査について

基本的には大腸内視鏡検査によって確定診断を行い、病変の範囲や重症度を評価します。

潰瘍性大腸炎の重症度について

臨床症状をもとに、以下のような指標を使って分類します。重症の中でも特に症状が激しく重篤なものを劇症(潰瘍性大腸炎の最重症型)といいます。

潰瘍性大腸炎の治療について

潰瘍性大腸炎は大腸の病気ですので大腸を摘出すると完治も望める病気です。重症で大量に出血した場合、腸に穴が開いた時や大腸癌が出た場合、入退院を繰り返して通常の生活が送れない時などには手術で大腸を切除することがあります。しかし、大腸を摘出した場合は排便異常などが術後の生活に大きな影響を与えてしましますので安易に行うことができません。

そのため潰瘍性大腸炎の治療は薬物療法が中心となります。最近では多くの治療薬が開発され、潰瘍性大腸炎の薬物治療は新時代に入ったといっても過言ではありません。治療薬の著効例(薬がすごく効いた症例)も多く目にするようになりました。当クリニックでは患者様の病状、生活スタイルに合わせて治療法を一緒に考えていきます。以下に代表的な薬を紹介します。

5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸)

潰瘍性大腸炎の治療の基本は5-アミノサリチル酸(5-ASA)になります。経口剤は4種類が使用可能です(ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®、サラゾピリン®)。

ステロイド(副腎皮質ホルモン)

5-ASA製剤にて効果が見られない場合はステロイドを使用することが一般的です。ステロイドは炎症抑制作用が強く、有効な治療薬です。しかし、副作用の問題から当クリニックでは長期間の使用は行わないようにしており、基本的には減量し中止を考慮しています。

免疫調整薬

ステロイドが無効、あるいはステロイド減量に伴い症状が悪化する方には必要に応じて使用する薬剤です。白血球減少や脱毛の副作用が出やすい方が時におられますので当クリニックでは治療を開始する前のスクリーニング検査としてNUDT15遺伝子多型検査(血液検査)を受けていただくようにしています。免疫調整薬の代謝酵素に関する遺伝子を調べることで薬が効きすぎてしまう人とそうでない人を見分けることができます。

生物学的製剤(バイオ)

活動期の症状改善と寛解を維持するために使われる最近の治療薬です。ステロイドや免疫調整薬と比べて副作用が少なく、それでいて高い効果が期待できる治療方法です。静脈注射や皮下注射で使用します。レミケード®、ヒュミラ®、シンポニー®、エンタイビオ®、ステラーラ®と様々な種類があります。当クリニックでは治りにくい潰瘍性大腸炎の方に対しては積極的にこの生物学的製剤を使用しています。薬剤ごとの副作用の特徴をご説明したうえで、患者様の希望に合わせて治療方針を決定しています。

生物学的製剤によって病状が改善した症例
治療前の内視鏡写真
治療後(3か月後)の内視鏡写真

JAK(ジャック)阻害薬

活動期の症状改善と寛解を維持するために使われます。経口剤で効果が現れるのも早く、有用なお薬の1つです。当クリニックではJAK阻害薬の処方を行っています。

JAK阻害薬によって病状が改善した症例
治療前の内視鏡写真
治療後(3か月後)の内視鏡写真
経口投与可能なα4インテグリン阻害剤

活動期の症状改善と寛解へ導くために使われます。JAK阻害薬と同様に経口剤です。当クリニックは経口投与可能なα4インテグリン阻害剤の処方を行っています。

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